2014年6月30日月曜日

更新お休みのお詫び(6/30)

本日(2014/06/30)、諸処の事情により更新できなくなりました。ごめんなさい。

2014年6月26日木曜日

【第62回】肯定的な情報ばかり探さない


問題点やその原因が正しいかどうかを調査していると、どうしても自分の企画に有利な情報だけを都合良くピックアップしたくなります。これは、プロのでもうっかりやってしまう。
自分の企画はどうしても愛着があるので、なんとか説得力を持たせようとして、つい都合の悪い情報は目をつぶりがちになるのです。
しかしながら、否定的な情報というのは、企画を通す場において相手からツッコまれる危険性のある情報でもあります。そういった情報をきちんと把握した上で対策や反論をあらかじめ持っていると、その企画は説得力が高くなります。

一番いいのは、最初から「肯定的な情報」「否定的な情報」の両方を意識的に探すことです。
Wordでも紙の上でもいいですが、ページを半分にして「肯定的な情報」「否定的な情報」と見出しを付けます。そして、調べた情報を記入していきます。
どちらかが少ない場合(たいてい「否定的な情報」ですが)、意識してそちらの情報だけを探すようにします。そうしたのち両方の内容を比較して、問題点やその背景についてについて誰もが同意できるものになっているか、否定的な情報に対してきちんと反論できるかを再考するのです

場合によっては否定的な情報の方が優勢で、問題点の前提がまったく成り立たなくなる場合もあります。その場合はスパッとその企画を諦めることです。
学生を見ていると、ここでつい現企画にこだわって「③どうなりたいのか・どうしたいのか?」を残したまま、逆算的に問題点を変更しようとしたり、、肯定的な情報を無理矢理探したりしたあげく、余計に整合性がとれなくなって時間を無駄にする場合が少なくありません。

それよりも、その時間を新しい企画を考える方に振り分けた方がはるかに建設的です。

2014年6月19日木曜日

【第61回】問題が正しいかどうかを調査する

前回の続きです。
「その問題が起こっている原因は何か?」という問いかけは、問題が正しいかどうか調査するきっかけにもなります。

例えば、石川企画の『グルメファイター』で、「①何が問題か?」が「父親は子供とのコミュニケーション不足に悩んでいる」というのは、一般のイメージからいくと、なんとなく正しいような気がします。
しかし、そこにデータ的な裏付けがあるかというと、けっこうその人固有の体験や世間のイメージに影響を受けている場合が少なくないのです。

「父親は子供とのコミュニケーション不足に悩んでいる」という問題についていえば
  • 実際にどのくらいコミュニケーションの時間を費やしているのか?
  • その時間は昔と比べて増加しているのか、減少しているのか?
  • 母親と比べてどうなのか?
  • 子供の年齢に応じてどう変わっているか?
  • どのようなコミュニケーションをしているのか?
  • コミュニケーション不足が起きているとしたら原因は何なのか?
あたりの調査が必要そうです。

今はインターネットで以前よりはるかに簡単に調査ができるようになりました。ただ、ネットの情報は玉石混淆で注意が必要です。
行政や大手企業、有名シンクタンクの調査は比較的信用のおけるものが多いですが、設問をきちんと見て「結論ありき」な調査になっていないかは注意する必要があります。
また、できれば同じような調査について、複数のソースを見つけられるとより確実性が高くなります。

逆に引用先が確認できないものは、たとえ役立ちそうであっても避けるべきです。
特に、「~という本にこう書いてありました」「この分野で有名な~さんがこう言っていました」系は、書いている人が自分に都合のよい解釈をしていたり、一部を恣意的に抜き出したりしている場合が多々あるので、本や発言そのものを自分でチェックできない限りソースとしては参考にしてはいけません。

2014年6月16日月曜日

【第60回】あらためて問題点を整理する


さて、企画リサーチシートの2枚目は「ゲームが目指す体験」です。下記から新しいシートをダウンロードしてください。

■企画リサーチシート02(Wordファイル、PDFファイル同梱)

まずは、「①何が問題か?」「③どうなりたいのか・どうしたいのか?」から記入してみましょう。
「①何が問題か?」は1P企画案の「どうしてそう思うのか」を別の視点で言い換えています。
また、「③どうなりたいのか・どうしたいのか?」は1P企画案の「どういうメリットがあるのか」の言い換えです。

言葉と順序を変えるだけで、だいぶイメージが変わるのではないでしょうか。こういった置き換えをするだけでも、同じような内容を多角的な視点で見れるようになります。
実際に記入してみると。1P企画案と表現が変わった人も多いのではないでしょうか。むしろ1P企画案に引っ張られずに、このシートで思いついた言葉を記入してください。

そして、より重要なのが「②その問題が起こっている原因は何か?」です。
何度も言ってきた「企画は問題の解決」であるということは、別の言い方をすれば、「問題の原因を取り除く提案」が企画である訳で、この③の問いかけがあることで、企画の方向が間違っていないかを判断しやすくなるのです。

2014年6月13日金曜日

【お知らせ】更新が原則として月、木の週2回になります

どうも、石川です。
今日の『ゲーム企画塾』本編の更新はなしです。すみません。

いままで、番外編や「ヤナセコラム」などを挟みながらなんとか週3回の更新を維持しようとしてきましたが、本業がいろいろ動いていて、さすがに厳しくなってきました。
そこで、来週から基本的に週2回、月曜日と木曜日の更新に移行したいと思います。

その上で番外編や「ヤナセコラム」などはスポット的に上の曜日以外の日に不定期更新していきたいと思います。
『ゲーム企画塾』を楽しみにしていただいて下さっている方には申し訳ございませんが、ご理解の上、今後ともよろしくお願いいたします。


2014年6月11日水曜日

【第59回】一人でツッコんでみる

さて、前回の簗瀬氏のツッコミとは別に、実は石川も一人ツッコミをやっておりました。どういうことかというと、企画案をまとめるときにふと気になったことや、自分が企画を通す立場だったらどんな点を突っ込むだろうかという視点で気になる点をリストアップしていったのです。
説明がわかりやすいよう、もう一度石川の1P企画案を再掲します。
これに対する石川の「一人ツッコミ」は以下の通り。

  • 今の父親は3DSを持ち歩くか?そもそも3DSを持っているか?(スマホにすると今度は子供がもってないし・・・)
  • 父親がゲームを買い与えるとして、子供は遊びたくなるのか?
  • 料理系ゲームって意外に種類出てないのでは?(ゲーム題材として人気がないのでは?)
  • そもそも「父親が子供とのコミュニケーションに悩んでいる」って本当?
  • すれ違い通信で料理を買う側のメリットは何か
  • すれ違い通信で高価なもの、レアなものの差が出せるのか(一律で売るしかできない場合、高価なもの、レアなもの価値感をどう出すか)
  • 都会以外はすれ違い通信がしにくい問題をどうするか
  • 親子で自動的に通信して料理や売上げを渡す仕組みはできるか(父親が遅くて子供と直接会えなかったとき時など。可能であればそのときに手紙を添えるなど会えないときのコミュニケーション手段になる)


一部は前回の簗瀬氏の指摘とも被っていますね。また、企画というよりゲームシステム寄りな内容も含まれていますが、とりあえず全部掲載しました。

このように、自分の企画を「他人に見せて意見をもらう」&「第三者になったつもりで自分で気になる点をツッコんでみる」という組み合わせは企画初期に問題を洗い出すとても優れた方法です。
自分自身で第三者になったつもりでツッコむのはちょっと慣れがいりますが、ぜひやってみてください。

そして意見くれる人を作るのも、とても大切です。知人友人にも積極的に見せてたくさん意見をもらってほしいのですが、ゲームのことにあまり詳しくない人の意見はさらに貴重です。
プロはよく家族とかに見せて意見を聞いたりします。学生だとおばあちゃんとか(ゲーム関係でない)先生とかの意見を聞くと思わぬ指摘を受けて目から鱗のことがあると思いますよ。

さて、だいぶ回り道になりましたが、石川が1P企画案をもとに書いた企画リサーチシート1がこれです。

そして、このシート1に対する簗瀬氏のツッコミがこれ
  • 協力プレイには「非対称」など、通常の協力プレイではない一言を入れた方が良い
これなんかはすぐに反映できますね。

さて、けっこう沢山の課題を抱えた石川企画『フードファイター』は無事企画書になるのでしょうか?
「実は最後の企画書までもう完成していて、逆算的に原稿を書いてるんじゃない?」
と邪推している人もいるかもしれませんが、正真正銘リアルタイムで書いてます。つまり、現時点では企画リサーチシート1までしか完成していません!

今後、他の企画リサーチシートの説明に合わせて、『フードファイター』の例も書いていこうと思いますが、検証した結果、ひょっとしたら本当に企画としてボツになるかもしれません。そういったライブ感もハラハラしながら楽しんでもらえればと思います(笑)

2014年6月9日月曜日

【第58回】石川の企画案に簗瀬氏がツッコむ!

さて、前回までの説明で企画リサーチシート1「まずは自分の企画を整理しよう!~エレベーターピッチ」の説明は分かりましたでしょうか。読み返しながら企画リサーチシート1もう一度書き直してみましょう。

といっても、やはり実例がないと分かりにくいかもしれないかもしれませんね。
理想は誰か学生さんに書かせていってそれを石川や簗瀬氏がアドバイスしながら直していくというのがいいのでしょうが、連載のペースに学生さんが合わせられるかどうか分からないし、情け容赦ないツッコミに学生さんが途中で逃げ出すかもしれません(笑)

そこで、しかたなく石川が思いついた企画を記入例として公開していくことにしました。しかもアドバイザー簗瀬氏の情け容赦のないツッコミ付きです(^_^;
実際のところ、企画リサーチシートは問題点を1項目ずつ解決するためのものなので、突っ込まれた問題点を受けて企画案がどう変わっていくか、も含め見てもらえればと思います。



で、企画リサーチシート1なのですが、そもそもまず1P企画案シートが先にないといけないので、まずはそれから。第46回第47回でやった「親子で楽しめるゲーム」の切り口で考えてみました。
このシート、実際に「5つのつぶやき」感覚で一気に書いています。つまり、「【第53回】その企画案は整合性と根拠のあるものなのか」で指摘した整合性や根拠については弱い状態のままです。
そして、この1P企画案に対する簗瀬氏のツッコミは以下の通りです。
  • なぜ「飲食店」なのか、理由が欲しい(子供のあこがれる職業ランキングデータや類似するテーマを持ったアニメや漫画のヒットなど)
  • 子供が欲しがる場合、どうやって親の協力を得るか?
  • 親が子供に買って与えた場合、どうやって子供の興味を惹くか?
  • ゲームシステム的には確かに親子で協力する必要があるが、このゲームをプレイする動機として子供の方に強いモチベーションがないと、普通のゲームよりも面倒な分だけ敷居が高い。
  • どのように「親子で協力することがクール、格好良い」とするかが重要
なかなか鋭いです。企画の根源を揺るがすようなツッコミも入っています。(^_^;)
こういった指摘を受けたから「もう自分の企画はダメだ!」とすぐに悲観することはありません。
これから企画リサーチシートを使って、企画の方向が正しいのかどうか、もしくは企画を修正すれば形になるのかといったことをチェックしていきます。
いま1P企画案に問題があったとしても、最後にまた1P企画案に戻ってきて修正すればいいのです。

2014年6月7日土曜日

【第57回】差別性があるから「優れている」?

ぎゃあ、第57回を投稿してなかったことに気づきました!(;´Д`)
ということで、これが第57回です。
・・・誰も指摘ないって、このBlog実は読まれてないのではないかしら?w
しばらくしたら、投稿日を変更して正しい順番に並ぶようにしておきますね。
(2014/06/23 石川)



さて、エレベーターピッチのシートも最後の項目にやってきました。

[⑦⑥に対してこのゲームが優れている点]が備わっている。

競合がいる以上、その競合に対して何か優れている点がなければユーザーは選んでくれません
ここでよく陥りやすい罠が「差別性=優れている点」と勘違いしてしまうことです。

例えば「~と違ってアクション性がある」「~と違ってフィールドが広い」
これらの言葉は「~とは違う」ということを言っているだけで、それが競合に対して優位に立てるかどうかは別問題なのです。

もっと身近に、女の子にもてるかどうかの話に例えてみましょう。
「自分はイケメンのAさんと違って顔も鼻もまん丸です」
と言われたら、たしかにAさんとの違い(差別性)は表現しているけれど、Aさんより優れているようには聞こえないですよね?

でも、例えば
「顔も鼻もまん丸なので、Aさんと違って女の子に安心感を与えることができます」
と言えば、「ああ、その人を選んでくれる女の子もいそうだな」とイメージすることができます。

このように「優れている点」の説明は、競合と何が違うのかだけで終わるのではなく、その違いでなぜ優位に立てるのか、をきちんと理解して書く必要があるのです。

2014年6月6日金曜日

【お勧めサイト・記事】紙の上で「スマホアプリを考えよう!」

『ゲーム企画塾』以外にもゲーム企画に役立つサイトや記事はたくさんあります。
ということで、この【お勧めサイト・記事】シリーズでは、そういったサイトや記事を紹介していきたいと思います!(石川は本編のストックがないので必死だw)

今回はTechWaveに掲載された記事「紙の上で「スマホアプリを考えよう!」 国民総プログラマー化計画 vol.1」です。


紙の上で「スマホアプリを考えよう!」 国民総プログラマー化計画 vol.1【増田 @maskin】 : TechWave

この記事では スマホアプリを作りたいけど、何から始めたらいいか全然わからない人向けに「スマホアプリ企画アイディアシート」というものを紹介しています。
これがホントいい出来なんですよ。どっかの1P企画案シートとか恥ずかしくて引っ込めたいくらいw

「小学校高学年以上なら説明なしでもスラスラ描けるようになっている」と記事に書かれていますが、1つ1つの項目の言葉が分かりやすく、埋めていくだけで子供や素人でも自然とスマホアプリの企画が作れるようになっています。
個人的には「夢とやぼう」欄があるのがいい感じです。

残念ながらダウンロードできるPDFファイルのリンクは切れているようですが、記事に載っている画像でどういう項目かは分かりますので、書き写して挑戦してみてはどうでしょうか。

2014年6月4日水曜日

【第56回】競合する相手はゲームとは限らない

さて、前回の続きです。



[⑤①を受けてこのゲームが解決できること]することができ、

これは「【第50回】どうしてそう思うのか?どんなメリットがあるのか?」で解説した、1p企画案シートの「3.どういうメリットがあるか」の部分になります。

[⑥このゲームが一番競合すると思われる他ゲームや他娯楽]とは違って、

ここらあたりで手が止まってしまった学生さんもけっこういるのではないでしょうか。
この項目は1p企画案シートにないのと、企画をぱっと考えているときには意外と頭に浮かんでない人も多いからです。そして、項目が「他ゲーム」ではなく「他ゲームや他娯楽」になっているのにちょっと引っかかった人がいるかもしれません。

競合する相手の話は「【第10回】ゲーム企画の本質はたった2つ」でチラッと触れているのですが覚えていますでしょうか?

“そしてもう1つ、「差別性」の難しさです。ここでの差別性とはライバルゲームとの差別だけではありません。ありとあらゆる娯楽との差別が要求されます。
例えばペットを飼うゲームの企画を考えた場合、差別すべきは他のペットゲームだけでなく、生のペットそのものも考慮しなければならないのです。”

多くの人は競合相手というとゲームを考えてしまいます。しかしながら、もし他の娯楽がより高い体験感を与えてくれるのなら、ユーザーはわざわざゲームでの体験にこだわる理由はないのです。
ですので、競合相手を考える場合には必ずゲームだけでなくゲーム以外の娯楽も視野に入れることが大切です。
さあ、あなたのゲーム企画の一番の競合相手はイメージできたでしょうか?

2014年6月2日月曜日

【第55回】習ったことを思い出しながらエレベーターピッチを埋めていく

では前回ダウンロードしてもらった企画リサーチシートの1枚目「まずは自分の企画を整理しよう!(エレベーターピッチ)」の各項目について解説したいと思います。

[①現在ユーザーが抱えている不満やニーズ]で問題を抱えている

ここは「【第5回】「よい企画」と「よい企画書」の違い分かりますか?」などでも述べてきた「問題のある現状」です。
「【第52回】「5つのつぶやき」を企画案シートにまとめる」で作成した1p企画案シートだと「2.どうしてそう思うのか」の部分になります。

[②どのような人が①のような不満を抱えているかのユーザー像]向けの、

これは「【第11回】ターゲットユーザーの考え方」「【第12回】ターゲットユーザーを広げすぎない」などで述べてきた対象となるユーザーですね。
1p企画案シートだと「どんな人に向けたゲームか」の部分になります。

[③ゲームのタイトル]というゲームは、

これは問題ないですね。ゲームのタイトルを記入するだけです。
あ、以前お話したようにできるだけ現時点で一番いいと思うタイトルを入れてくださいね。

[④そのゲームの題材やジャンル]である。これは、 

これもそんなに難しくないですね。ただ、単に「猫RPG」みたいに書くよりは、「猫世界冒険RPG」とか、ちょっとだけキャッチコピーっぽい書き方をするとよりわかりやすくなります。

次回に続きます。