2014年4月4日金曜日

【第38回】題材と製作コスト問題

以前、ファンタジーは題材論的には売れない題材であるという話をしました。しかしながら、制作という視点から見ると別の問題が浮き上がってきます。
それは、現実に近いほどユーザーがディテールまで想像しやすいという問題です。
そのため、特に実写的な表現のゲームでは、相当なところまで画面を作り込まなければならず、その調査コスト、再現コストが膨大になってしまうことがあるのです。

以前、学生から「世界の主な観光地を3D画面で楽しめるリアルな旅行ゲーム」という企画が出てきたことがありますが、これなど、もし実現しようとしたらどのくらいのお金がかかるでしょうか?

それに対してファンタジー世界であれば、極端な話どのように描くかは作り手の自由です。
一時期、スマホのゲームでやたらカード型のファンタジーゲームが多かったのも、ファンタジーならカードのキャラクターを複数で描くときに、全体的な統一感をあまり考えないで発注できる(=世界観の統一にコストをかけなくて済む)という利点もあるのです。

ちなみに、日本においてスマホゲームのファンタジー設定がかなり適当でも許されるのは

  • 西洋ファンタジーを文化として持っていない
  • スマホゲームでまだそこまで世界観を必要としていない
  • ライトノベルなどで軽いファンタジー設定のものが多い

といった背景があるからではないかと思います。
今後、海外での展開が前提の企画となると、今のような製作都合で安易にファンタジーを選択するのは難しくなっていくのではないでしょうか。

話を戻すと製作コストによる題材選択の問題は、学生さんが書く企画書では制作まで考慮する訳ではありませんので、さほど気にする必要はありません。
ただ上記で例示した観光ゲームのように、誰の目にも製作コストとのバランスが大きく欠けているものは、やはり問題視されますので、注意してください。

※次回更新は2014/04/07(月)の予定です!