2014年3月5日水曜日

【第26回】ファンタジーRPGは売れるという幻想

さて、前回で題材のタイプによる有利・不利を説明しました。
では、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といったファンタジーRPGはどの領域に入るでしょうか?



これらの作品は新規のファンタジー世界を元にしたオリジナルフィクションですから、実は題材論だけで考えると最も売りにくいEの領域になるのです。
「おかしいじゃないか、ドラクエやFFは何百万本も売れてるじゃないか!」
という人も多いかもしれません。
しかしながら、ドラクエやFFは、何と言ってもまだゲーム性がセールスポイントになった時代からの、シリーズとしての実績があるのです。

RPGというジャンルは「やればおもしろい」典型的なシステムを持っており(これについてはいつか触れたいと思います)、ゆえに初期からの有名タイトルはプレイヤーの中に「新作もおもしろいにちがいない」という「おもしろそう」感を生み出すことに成功しているのです。

近年の新作RPGはなかなか厳しくなってきています。
例えば、昨年2013年の家庭用ゲーム機市場で考えると、シリーズ物でも版権物でもないルーキータイトルで、ある程度の売上げを上げたRPGは「妖怪ウォッチ」くらいではないでしょうか。

「最近のソーシャルゲームでもファンタジーRPG(もしくはRPG風)のヒットが多いのでは?」
と思っている人もいるかもしれません。
しかしながら、ソーシャルゲームも、ゲームシステムのおもしろさが口コミで広がる時代はほぼ終わり、圧倒的な広告とプロモーションで差別化せざるをえなくなってきています。

ゲーム内容がよくわからないファンタジー系ソーシャルゲームの、大量のTVCMや屋外広告を見た人も多いと思います。
よく言えばイメージ戦略、悪く言えばCMや広告ではゲーム内容の差別化がアピールできない題材であるが故に、あのように大量投入して認知度を上げなければならないということなのです。

※次回更新は2014/03/07(金)の予定です!