2014年1月17日金曜日

【第8回】学生にとっての「よい企画書」とは?

前回までに、
「企画者は直接的には売り込み先の問題解決を企画として提案するが、その企画を達成するためにはユーザーの問題解決も満たさなければならない」
という話をしました。
そして、ゲーム会社の場合の売り込み先への一般的な説得とは
「このゲーム企画を通してくれれば、かかる経費を差し引いてもあなたの利益になりますから、当面の時間とお金を出してください」
であるという話も以前しました。

しかし、学生の企画書は開発と売上げを前提としたものではありません。
ですから、学生の企画書にはプロの企画書では一般的な「開発コスト」や「目標本数」は記載されません。
では、学生が就職に書く企画書は、ユーザーへの問題解決だけ考えればいいのでしょうか?

いえ、違います。学生の企画書もゲーム会社に対する説得が存在するのです。
それは就職したいゲーム会社に対して
「私を雇ってくれれば、いずれ給料以上の利益を会社にもたらしますから、ぜひ雇ってください」
自分の能力や将来性をアピールして、雇用を「説得」することです。

どう考えても費用対効果の見込めない企画や、ターゲットユーザーが見えない企画、題材やシステムに対して適切でないプラットフォームの選択などは、ゲーム業界に対する視点が甘いと思われ、雇用するにはスキル不足と判断される場合も出てきます。
ですから、企画書に開発コストや目標本数の項目はなくても、実現性や市場性という視点でも企業側がチェックすることは多いのです。

ただ実現性や市場性と、アイデア部分とで、どちらをどのくらいの比率で重視するかは、各会社によってかなり違いがあると思います。
会社によっては「実現性は問わない」と明言している所もあります。募集要項にはそういった情報も書かれている場合が多いので、しっかりと目を通しましょう。

いずれにしても、学生が書く企画書で企業に対する問題解決は、プロのようなレベルで記載する必要はないですが、「実現性」「市場性」という部分をしっかりイメージすることで、リアリティが増すのは確かですし、プロの現場に近い企画書に仕上がっていきます。

『ゲーム企画塾』の目標は「就職活動に役立つワンランク上の企画書を書けるようになる」ですが、学生さんには就職だけの小手先な技術よりは、就職後も実践で役立つ基本的な技能を身につけてほしいと考えています。
ですので、今後も実現性や市場性を意識しながら話を進めていきたいと思います。

※次回更新は2014/01/20(月)の予定です!